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2017年12月12日火曜日

小ネタ 模試の問題

我がとある場所での模試採点アルバイトをしようと情報をさぐっていると、こんなものを発見。
nは自然数とする.
「n^2が素数であるならば,nは素数である」は【 ア 】である.
アの選択肢
① 真  ② 偽
これの答えは1で、正答率は2.9%という。これ、本当に難問なのか。

さて…。
これは対偶をとってみると明らかで、「nが素数でない(合成数)ならばn^2も素数でない(合成数)である」という命題は、これは真。なぜかというと、nはn^2を割り切るからである。もしnが1or(n^2)ならばn^2が素数の可能性があるが、n=1またはn=n^2というケースは、n=0または1と同じで、nが合成数という仮定よりありえない。なので、少なくともnを最大公約数として持つ、ということで真。
なので1を選ぶ。

別にこれを行わなくても、偽ならば反例を見つければいい。
「AならばBである」の反例は、「AであってBでない」ものの存在を示すことに他ならないので、「n^2が素数であってnが合成数」というような反例を上げることになる。
だが。
n^2が素数であって、というのは、いかなる自然数nについても成り立たない。
素数は2,3,5,7,…となり、1が含まれないのと、1以外はnで割り切れるからである。
なので実質、反例を見つけることができない、ということになる。
というわけで、反例が存在しないことが示されれば、もとの命題は真と分かる。

なので結局どちらも真。

しかしなぜこれで偽を選ぶ人が多発したのか。
おそらくこれは「n^2が素数であるならば」の部分に食いついてしまって、「そんなんありえん」と偽を選んでしまったのだと思われる。しかし実際これは反例になっていない。なぜなら上のようにAであってBでないものを探さなければならないからである。

このようになぜかセンターの数1で、たまにややこしい問題をみかけることがあるので、注意が必要。我も3年後センターを受けるだろうが、数1は基本ここさえまちがわなければ100点はミスなしだと余裕なはず。地味に高3のころは勘違いでこの集合と論理の部分で点を落として95点前後にとどまることがたまにあった。

まあ我に言わせれば、高1での集合の話は、基本中の基本に過ぎない。
たしか数1でやるのがド・モルガンの法則、ベン図、「かつ、または」などの意味。
後上記の、命題の判定、反例くらいだろう。必要条件、十分条件、必要十分条件。
一応「任意の」「ある」という表現は確か教科書では発展、という形ででる。
「任意の」の否定が「ある」となるということなどを学ぶ。
なおこの話は、大量に集合の話や解析学でものすごく出てくるので、これを使いこなせないとたぶん大学入ってすぐ出るであろうイプシロンデルタで滅びる。
(解析学はイプシロンデルタ論法から始まって、一変数関数、二変数関数へと移行していくことにより偏微分、全微分が定義され、その後重積分、面積分、線積分へと移行してグリーンの定理が発生する。これがのちに複素数に拡張されて正則、複素微分、Cauchy-Riemann方程式、テイラー展開からローラン展開、留数定理にまで発展する。現在ここ。
実は、高校3年でも、難しい大学入試では重積分と似たようなことをやっている。
断面積を表してそれを積分して体積を求める、というのは重積分とやっていることはたぶん同じ。
線積分はたしか曲線の長さ、としてちょっと出てくると思う。テイラー展開は一次近似としてsin[x]≒xや(1+x)^a≒1+ax(x:十分小)などに用いられていると思う。)
(ベクトルは行列に発展して、たぶん基礎教養として行列は学ばないといけないはず。
まず積が定義されて、逆行列を求めたり正則行列に関する話や一次方程式との関係、Gaussの掃きだし法や線形写像の定義、行列式、対角化、固有値、固有空間分解あたりまではおそらくやらなければいけないと思う。ただしそこから進むと、自己準同型、Jordan標準形、双対空間、内積空間、商空間、群へと発展していく。もう我にとってJordan標準形の存在の証明は意味不明。)

(我は現在上記のような話に絶賛苦戦中である)