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2017年11月9日木曜日

モンパレ 確率のお話

とある無課金プレイヤーの90個目の動画を見ていた。
しもふりにく1個で1%ならば10個で10%になって、100個で100%になるから100個投げれば魔王が必ず当たる、というのは当然のごとく嘘である。
そこで累乗の話を出して考察していた。まあ我はこれくらいは当然、というかこれができなければ大学入試以前の問題。まあそれは別にいい。この手の話題は何度か過去に触れたことがある。

そのコメント欄に面白いものが。
「もし、あなたがビデオの内容を本気で信じているのなら、私に返信してください。私と数字あてゲームで勝負しましょう。私は 1万円を払い、あなたが出した 1~100までのカードの数字を当てます。当たるかくりつは 1% です。当たったら 110万円をください。これを 100回繰り返します。ビデオのとおりの かくりつなら、私は 100回実行時に 63.4% で勝利します。私は 100万円投入して、平均 110万円×63.4% = 69.74万円を稼げます。あなたは 1万円×100回 = 100万円を獲得できます。あなたの支払いは、たったの 69.74万円です。あなたが 大もうけできますよ。ぜひ やりましょう。」

さて…。この人の主張はこうである。1%で起こる事象Aを100回やればAは63.4%の確率で一回起こる。試行1回につき自分は1万払うが、Aが起これば110万もらう。Aが(1回以上)起こる確率は63.4%なので、自分は平均69.74万円の収入。あなたは1万円×100回の試行により100万円獲得できる。なのであなたは69.74万円を支払うだけ。(だから30.26万円儲けられるで。)

…怪しい。なんか後半、明らかにおかしな主張が混じっている。というか軽く期待値で考えてどう考えても「あなた」は損になるやん。

まず期待値で考える。1%で110万円を失い、99%で1万円をもらう。
0.01*(-110)+0.99*1=-1.1+0.99=-0.11なので、1回あたりの入手金額の期待値は-1100円。これを100回もやれば期待値は110000円もの損失、ということになる。ふざけんな

だがなぜ、上の書き方だとなんかそれっぽく見えるのか。今回はそこを考える。
まず、記述「私は 100回実行時に 63.4% で勝利します。」がおかしい。
100回実行したときの63.4という数値は、期待値上の成功「回数」であって、100回の試行には成功もなにもない。なので、100回実行すれば63.4回平均で成功する、と書くべき。
それによって、次の記述「私は 100万円投入して、平均 110万円×63.4% = 69.74万円を稼げます。」
というのは、「稼ぐ」という言葉の使い方が間違っており、そもそも両方稼げるならばどこからお金が湧き出てくんねんというあまりにもおかしすぎる話になる。
まあここは百歩譲って稼げます、を入手できますという記述に置き換えてみる。
すると「私は 100万円投入して、平均 110万円×63.4% = 69.74万円を入手できます。」
ということは、差額の30.26万円自分は失うことになるということをいっている。
だがちょっと待ち。上で期待値を述べて、この話を持ちかけたほうが得になることはすでに結論として出ているのにあたかも自分が損しているかのように見せかけている。
なぜか。
まず、自分がどれだけの額を平均で入手できるのか。これはまさに期待値の問題で、
上に書いたものの逆なので、1100円のプラス。なので、100万円投入すれば111万円入手できる、と書くべきである。もうこうなれば自分、が有利であることが確定して、この話に乗る人はいないだろう。

そういうわけで、63.4%という確率にだまされたりすると、大変なことになるというお話である。
こういうだまし話はよくある。
たとえば…。1~100までダイスをふってもらう。

「45以下の値が出れば所持金を2倍にしてやる。ただし46以上ならば所持金全部いただく」

これはもう最たるダイスのひとつ。45↓と称されているらしい。これは、掛け金を10000円とすると、
期待値は9000円。要するに、負ける勝負である。
ただ、やったことある人ならわかるが、これ、意外に連続で勝って増えることもある。
なにしろ0.45*0.45の確率、すなわち20.25%の確率で掛け金は4倍になるのだから。
期待値はあくまでも平均を取っているだけ。なので、こういう事態が起こりうる。

「両方ダイスをふって同じ目が出ればやりなおし、それ以外では大きいほうの勝ち」

これはまだ良心的なもので、一応期待値的には増えも減りもしない。
だが逆に、本当に10000円をかけて100回やって、はたして所持金が試合100回の前後で変わらない、ということが起こりえるか。
似たような問題に、ランダムウォークというものがある。初め点は0にいて、それぞれ0.5の確率で+1または-1動く。期待値的には100回やっても1000回やっても原点にいる確率が一番高いとおもわれる。だが実際本当に原点にいる状態が多く出るのか?という問い。
我のこの問いに関する見解は、他の確率に比べて相対的に0になりやすいだけであって、いわゆる分散してくような感じで、試行回数を重ねるほど0を頂点とする分布の山がなだらかに広くなっていくというようなイメージを抱いている。これは普通にとある点での確率を求めてグラフにすればおそらく正しいはず。

他にも、何かしら事象を起こしたくても、1%を100回やるのと0.1%を1000回やるのとでは事象をおこせる確率が違う、という面白い問題についても昔触れた。

我は数2では確率統計ととっておらず、せいぜい数1で勉強しただけである。
なので、推定や検定とかいった概念もあるらしいが我は知らない。信頼度とか何のこと?

他にもこういう確率を考えるのも面白いかもしれない。
1%を100回やって、理論上の平均成功回数1回に収まる確率
1%を100回やって、一度は1%が起こる確率が63.4%±0.1%の誤差でおさまる確率
ようするに、確率や期待値にさらに確率を考えるというお話。宿題。